「原料不問の設定」が生んでいた月80時間の残業。乾燥条件の最適化で、不急残業をゼロへ

(カテゴリー:現場改善 / 工程最適化 / 労務コスト削減)

1,【背景・課題】ルールが仇となった「連鎖する残業」

真空乾燥機を用いて原料を粉体と液体に分離する工程において、慢性的な残業が発生していました。そこには現場特有の「ルールのジレンマ」が潜んでいました。

  • 乾燥速度の低下:原料の状態によって乾燥に時間がかかり、予定通りに作業が終わらない。
  • 「2名在席ルール」の壁:安全規則上、夜勤(遅番)の残業発生時は必ず2名在席する必要があり、一人の作業が終わらないだけで、もう一人も不必要な残業を強いられていた。
  • 常態化するムダ:毎日2時間×2名=計4時間の残業代が積み重なり、人件費を圧迫。現場も疲弊していた。

2,【視点】「原料無視の固定設定」という思考停止を疑う

なぜ、原料の状態によって速度が落ちるのか、設備の設定を徹底的に確認しました。そこで判明したのは、「どんな原料に対しても、一律同じ乾燥設定(温度・圧力・時間)で稼働させている」という事実でした。「今の設定がベスト」という固定観念を捨て、原料ごとの特性に合わせた「最適条件」を見つけ出せば、残業そのものを消滅させられると確信しました。

3,【実施した施策】検証データに基づく「設定値の再定義」

主観ではなく、客観的な検証データによって現場とルールを動かしました。

  • プロセス条件の再検証:原料の含水率や性質に合わせ、乾燥速度が最大化する真空度と温度の組み合わせを詳細に分析。
  • 最適設定の標準化:原料ごとに「どの設定で回すべきか」の基準値を策定し、誰でも最適な条件で稼働できるマニュアルを作成。
  • 作業サイクルの再構築:設定変更により、遅番の定時内に確実に作業が終了する「残業前提ではないフロー」を確立。

4,【結果と変化】月間80時間の人件費を「知恵」で削減

  • 残業時間の消滅:毎日2名×2時間発生していた残業が、ほぼゼロになりました。
  • 労務コストに削減:月間にして計80時間分(40時間×2名)の残業代を削減。
  • 副次的効果:不必要な残業がなくなったことで、夜勤者のワークライフバランスが劇的に改善。現場全体の「設定一つで仕事は楽になる」という改善意識が高まりました。

5,【ウェルチクオリティパートナーからのメッセージ】

「人手不足だから残業は仕方ない」「ルールだから2名残らなきゃいけない」。そう諦める前に、その残業の「源流」を探ってみませんか?設備の設定一つ、条件の最適化一つで、何十時間もの人件費を浮かせ、現場を健やかにすることができます。データに基づいた「賢い現場改善」を、貴社でも実現しましょう。

上部へスクロール